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3.試験結果 | *第3回 「杉による水平構面をつくる・その1」はこちらへ | |||||||||||||||
(1)試験結果の表 | ||||||||||||||||
試験結果を、以下に示す。 | ||||||||||||||||
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●試験結果 | ||||||||||||||||
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(2)試験体の破壊状況 | ||||||||||||||||
主な破壊状態を以下に示す。 | ||||||||||||||||
●主な破壊状態 | ||||||||||||||||
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(3)各試験体の 荷重−見かけの変形角曲線 | ||||||||||||||||
各試験体の荷重−見かけの変形角曲線を示す。 | ||||||||||||||||
●流しダボ仕様 荷重−変計角曲線 | ||||||||||||||||
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●隠し釘仕様 荷重−変計角曲線 | ||||||||||||||||
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●合板仕様 荷重−変計角曲線 | ||||||||||||||||
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●流しダボ仕様の試験体の破壊状況 | ||||||||||||||||
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●隠し釘仕様の試験体の破壊状況 | ||||||||||||||||
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●実験状況 1 水平加力におけるフレーム(床梁)の変形が板との直角を維持していないのが分かる。 |
●実験状況 2 杉板各材がズレている状態がわかる。 |
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●実験状況 3 最大加力時における板材のズレの状況。 各材間で1cm以上のズレが見られ、それが全体変形につながっているが、危険(脆性的)な破壊が見受けられない。 |
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●実験状況 4 |
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●加力実験後の試験体状況 |
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試験後の状況を調べるために板を取ってみると、板の剛体回転による堅木の流しダボがめり込んでいるのが分かる。 この結果、杉板による水平構面の剛性を高めようとした場合は、このような流しダボとビスによるシステムも、合板と同様にねばり強く水平力を構面間の耐力壁に伝達でき、有効であることが確かめられた。 |
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完全弾塑性モデルによる降伏耐力・終局耐力等の求め方 | ||||||||||||||||
(財)日本住宅・木材技術センターより2001年12月に発行された「木造軸組構法住宅の許容応力度設計法」から抜粋 降伏耐力Py、降伏変位δy、終局耐力Pu、終局変位δu、剛性K、塑性率μ及び構造特性係数Dsの算定は、枠組壁工法の試験評価法で提案されている。 包絡線は、計測した荷重・変形曲線の終局加力を行った側の最初の荷重変形曲線より求める。 |
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(1)包絡線上の0.1Pmaxと0.4Pmaxを結ぶ第T直線を引く。 (2)包絡線上の0.4Pmaxと0.9Pmaxを結ぶ第U直線を引く。 (3)包絡線に接するまで第U直線を平行移動し、これを第V直線とする。 (4)第T直線と第V直線の交点の荷重を降伏耐力Pyとし、この点からX軸に平行に第W直線を引く。 (5)第W直線と包絡線との交点の変位を降伏変位δyとする。 (6)原点と(δy,Py)を結ぶ直線を第X直線とし、それを初期剛性Kと定める。 (7)最大荷重後の0.8Pmax荷重低下域の包絡線上の変位を終局変位δuと定める。 (8)包絡線とX軸及びδuで囲まれる面積をSとする。 (9)第X直線とδuとX軸及びX軸に平行な直線で囲まれる台形の面積がSと等しくなるようにX軸に平行な第Y直線を引く。 (10)第X直線と第Y直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力Puと定め、そのときの変位を完全弾塑性モデルの降伏点変位δvとする。 (11)塑性率μ=(δu/δv)とする。 (12)構造特性係数Dsは、塑性率μを用い、Ds=1/√(2μ−1)とする。 |
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短期基準せん断耐力P0は「軸組構法耐力壁の評価方法」にて算定し、壁倍率は次式により算定する。 | ||||||||||||||||
壁倍率 = 短期基準せん断耐力P0 / (試験体有効長×1.96kN) | ||||||||||||||||
@せん断変形角の算定 | ||||||||||||||||
せん断変形角は次の方法で計算を行う。 見かけのせん断変形角(γ)、脚部のせん断変形角(θ)、真のせん断変形角(γ0)は次式による。 |
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A短期基準せん断耐力の算定 | ||||||||||||||||
短期基準せん断耐力P0は、下記の(a)〜(d)で求めた耐力の平均値に、それぞれのばらつき係数を乗じて算出した値のうち最も小さい値とする。 なお、ばらつき係数は、母集団の分布系を正規分布とみなし、統計的処理に基づく信頼水準の75%の50%下側許容限界値をもとに次式により求める。 |
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ばらつき係数=1*CV*K ただし、CV:変動係数 K :定数0.471(n=3) |
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なお、降伏耐力Py、終局耐力Pu、構造特性係数Ds等は上記の「完全弾塑性モデルによる降伏耐力、終局耐力等の求め方」による。 | ||||||||||||||||
(a)降伏耐力 Py (b)終局耐力 Pu*(0.2/Ds) (c)最大荷重 Pmaxの2/3 (d)特定変形時の耐力(タイロッド式:真のせん断変形角1/150rad 柱脚固定式:見かけのせん断変形角1/120rad) |
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●評価法より実験データから得完全弾塑性に置き換えた荷重変形曲線 | ||||||||||||||||
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(4)試験結果より得られた剛性 | ||||||||||||||||
剛性については、試験データから求めた剛性及び、完全弾塑性にモデル化したものから剛性を算出したものを下記に示す。 | ||||||||||||||||
●試験データからの剛性 |
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●完全弾塑性のモデル化による剛性 |
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P:変計角が1/150rad時の荷重 (t) |
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流しダボ仕様及び隠し釘仕様は、変形角1/150radのときの耐力を1とするならば、変形角が1/50radを超えてから最大耐力で2倍以上の耐力が出ている。 |
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(5)流しダボ仕様の検討例 | ||||||||||||||||
本実加工した杉の厚板と梁材を流しダボとビスによる杉板の水平構面を(財)日本住宅・木材技術センターにおける2間×4間の水平構面として新壁量計算法の最大レベルの偏心を有する床面のモデル例を検討する。 |
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1/150rad時の流しダボ仕様 K = 18916>11686t・cm/rad ∴ O.K |
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以上の検討結果、流しダボ仕様の水平構面耐力は、上記のようなモデルであれば必要剛性を満たしているので、水平構面としての機能も期待できることが分かった。 |
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(6)杉の厚板による従来の隠し釘による検討例 | ||||||||||||||||
本実加工した杉の厚板に対し、斜め隠し釘打による杉板の水平構面を検討する。 |
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つまり、一般の建築雑誌等の木造住宅で見られる、杉の厚板直張り仕上げの床水平構面の耐力は、当事務所考案した流しダボ仕様の耐力と、比較した場合1/3程度といえる。 |
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(7)実験データからの床倍率算定結果 | ||||||||||||||||
●短期基準せん断耐力 |
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(a) : 完全弾塑性に置き換えたグラフからの降伏耐力Py |
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床倍率の算定 |
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試験体有効長 ばらつき係数 |
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●実験からの床倍率と表からの床倍率 | ||||||||||||||||
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床倍率の比較(合板落とし込み根太仕様との比較) |
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●品確法における水平構面の仕様と床倍率 | ||||||||||||||||
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品確法の床倍率に換算すると、流しダボ仕様においては1.5の床倍率となった。 |
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4.まとめ | ||||||||||||||||
流しダボ仕様においては、流しダボと床板及び梁材にめり込みが生じることにより、変形の増大と共に耐力も上昇して安定した挙動を示し、脆性的な破壊 は見られなかったが、隠し釘仕様においては、床板材が水平方向にズレるに従って、釘が床板材へのめり込み及び、曲げによる抜けが生じ、床板材と梁材との一 体性があまり無く、剛性は流しダボ仕様に対してかなり低くなっている。 |
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次回の第5回からは、さらに改良した杉厚板剛床仕様の実験です。 お楽しみに |
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●<たはら・まさる> 「木構造建築研究所 田原」主宰 http://www4.kcn.ne.jp/~taharakn |
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