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2009年の9月頃だった。 ようやく家具デザインとラインナップが決まり、具体的な商品化に向けて動き出そうという時期だった。本来の製品開発の流れから行くと遅すぎるスケジュール。その時点で内田洋行から商品企画課の片平さんと猿田さんが入ってくれることになった。僕自身内田洋行ではまともな商品開発は初めてだったので右も左も分からない。ベテランの二人が入ってくれると百人力だ。 一通りプロジェクトの経緯と家具のラインナップを説明し終えた後、片平さんの表情は曇っていた。 「これは内田洋行で売るのは難しいと思うよ、、」 「なんでですか!?そんなわけないでしょ??」商品として、こんなに価値のあるモノが出せないはずがないと思っていた。 「カタログ見て勉強しな」 正直愕然とした。まさかここまで来て製品開発が止まってしまうのか!?そんな不安がよぎった。 |
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自分の会社の悪口を言うわけではないが僕は内田洋行のオフィスカタログが好きではない。やれるもんなら片っ端から塗り替えたいと思っている。分厚く重たいカタログに、場所毎に細かく分類化された家具。小さい写真にスペックと価格がびっしり羅列してある。見ててうんざりする。いい商品はたくさんあるのにそれが魅力的に見えてこないのである。 考えてみれば当然かもしれない。 オフィス分野で大半の顧客は会社の総務や管理者。機能重視で選定された家具は他社の同等品と比較されスペックと価格で決定される。一般の人が家具屋で気に入った家具を買う感覚とはまた違っている。そこではモノの本来の魅力や価値は二の次になってしまうのだ。 |
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OBISUGI商品がこのカタログに載ったらどうなるのか。 カテゴライズしにくい家具、価格も決して安くはない、そして一番の問題は製品のクオリティが保てるか。生の木は表情が一つ一つ違う上、反りや狂いが出る。これらはすべてクレームの対象になる。 この世界では確かに不利かもしれない。商品は売れてなんぼ。二人が言うことも分かる。 |
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そんな懸念をよそに、若杉さんが二人を誘った。「とりあえず一緒に日南に行こう!」 こうなったら話が早い。南雲さんや若杉さん、地元の人達の熱い思いに触れ、最初はしぶしぶだった二人も回を重ねる毎にどんどん目の色が変わっていった。二人は本気になった。 そして本格的な商品開発がやっと始まった。 価格決定は最後まで難航したが、猿田さんが内田の利益を下げることで何とかギリギリの価格で押し切ってくれた。複雑だった流通の問題も、南那珂の河野伸行さんが販売窓口となって、なんとか販売の体制が整った。(河野さん、大役を引き受けてくださり本当にありがとうございます) |
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次はプロモーションだ!カタログ撮影、空港展、飫肥杉大作戦、社内の新製品発表会、やることが目白押しだったが後はもう気兼ねなく突っ走るだけだ。展示レイアウトからカタログ写真撮影まで全神経を注いだ。今まで不完全燃焼だった僕は必死でやった。市役所の河野さんもデミヤン(ナグモデザイン・出水さん)もみんな必死で突き進んでいた。やっとみんなに追いつけた気がした。飫肥杉大作戦ではオビスギメンバーやスギダラのメンバー、地元のみんなが館作りを手伝ってくれた。仕事や立場を超えた仲間がひとつのゴールに向かって突き進んでいた。イベントはもちろん大成功。タイトなスケジュールで忙しい毎日だったがホントに楽しい日々だった。 | |||||||||||||
そして2010年1月、OBISUGI DESIGNは無事に発売を迎えた。 社内でほとんど知られてなかった杉の活動も徐々に営業にも認知され、問い合わせが増えるようになってきた。先日、パワープレイス(内田洋行のインテリアチーム)の渡辺さんに「杉家具入ったよ!」と有名企業に入ったオビスギ家具の写真を見せてくれた。なんか旅立つわが子を見てるようで感動した。(子はいないが) |
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今はまだ企業として役割を果たせていない。価格の問題や売り方、価値の伝え方など問題点はたくさんある。 しかし少しずつ着実に前に進んでいる。今回のGマーク受賞も含め、世の中の見方も少しずつ変わりつつある。当たり前のことだが一人一人が変われば事は簡単に動く。そしてその輪が繋がれば世の中は絶対に変わる。OBISUGI DESIGNを通じてそんなことを感じた。 |
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こんなチームに入れて良かった。 ほんとうに感謝しています。 このままどんどん突き進みましょう!! 次は全国、いや世界に向けて!! にちなん! にちなん!! にちなんダーーーーー!!!!!!!!!! |
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飫肥杉大作戦スギダラブースの施工風景。真ん中は急遽大工仕事を手伝ってくれた野木村さん。 | |||||||||||||
●<さかもと・あきひこ> (株)内田洋行 テクニカルデザインセンター 所属 大阪府八尾市出身 |
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