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古びないどころか、よむときどきに、ちょうど今をかたっているようなことば。音がつらなって、ある情景がたちあがり、それぞれの境遇にぴったりとくる。 | ||||||||||||||
風がびゅんとふきすぎて、クレオソートの匂いまでとばしたら、まあたらしい電柱も、ずっと前にできた山々も、それよりもっと古い月さえも、 | ||||||||||||||
「すきとほって巨大な過去になる」 | ||||||||||||||
この頁をみていて、これがおさめられている「春と修羅」の序をもういちどよみかえしたくなった。よんでみると、そうだ、このスケール観なのだ、と雨のしとしとふるうすぐらい夕方に、ひろびろとこの心身に雨粒がしみ、またこの身やこころみたいなものが雨粒になるかのよう。 | ||||||||||||||
わたしじしんはたしかにたったひとり、芥子粒より小さい一点としてひろい時空にいるのだけど、 | ||||||||||||||
「すべてがわたくしの中のみんなであるように/みんながおのおののなかのすべてですから」 | ||||||||||||||
さてまた「風の偏倚」にもどれば | ||||||||||||||
杉が出てくるのはまんなかあたり、 | ||||||||||||||
「杉の列はみんな黒眞珠の保護色」 | ||||||||||||||
そしてその黒真珠の | ||||||||||||||
「杉の列には山烏がいっぱいに潜み/ペガススのあたりに立ってゐた」 | ||||||||||||||
「すきとほった巨大な過去になる」今を生きているわたしたち。しかし、そうはわかっていても、沈澱する前の一喜一憂に右往左往している。 | ||||||||||||||
だからこそ、ときに「風が偏倚」したあとにつったって、透明になりたい。 | ||||||||||||||
●<いしだ・のりか> フリーランスキュレ−タ− 1965年京都生まれ、金沢にて小学2年時まで杉の校舎で杉の机と椅子に触れる。 「人と自然とものづくり」をキーワードに「手仕事」を執筆や展覧会企画などで紹介。 近著:「藍から青へ 自然の産物と手工芸」建築資料出版社 草虫暦:http://xusamusi.blog121.fc2.com/ 『杉暦』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_nori.htm 『小さな杉暦』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_nori2.htm ソトコト(エスケープルートという2色刷りページ内)「plants and hands 草木と手仕事」連載中 |
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