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天草のワークショップ3年目、今までにない数と多才な人々が集まった。 いつもの九州大学の皆、スギダラケ倶楽部のメンバー、津高JR九州軍団、大手電子会社の吉田さん、韓国産業技術大学組、スマイルズの平井さん、建築家の大坪さん、某高級官僚の河野さん、日南市の健ちゃん、北山創研の久保さん、漫画プロジェクト代表 橋本先輩(高校の同窓)、スギコダマの有馬君、そして地元の方々だ。まあ随分なメンバーである。 |
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藤原先生の独自な運営の妙はあるのだが、結束の強さ、熱さ、真直ぐさ、そして連夜の酒宴。この、濃厚且つ人の距離を瞬間的に近づけてしまう波に飲まれ思わず、丸裸になってしまうのである。 何かに取り憑かれ、そして、何かを手づかみにするのである。 そんな、不思議なエネルギーが存在する。 |
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最初の年に、連れて行った倉内は、このイベントに参加して、帰りの飛行機でずっと興奮していた。その喜びと感動で、大きな声でずっと喋っていた。お陰で僕の前に座っていた、いかにもそれらしいオッサンから、倉内だけでなく、僕までどつかれてしまった。 飛行機を降りて、トイレに入った倉内を追いかけ、後ろから小突いて 「こりゃ〜お前。いい加減にせんかい、飛行機の中でうるさいんじゃ、お前の声でこっちは、眠れなかったんじゃい。ぶっ殺すど〜〜!!うりゃ!!」 今度は、続いて僕だ、 「こりゃ、あんた、先輩やろ、上司やろ、後輩の注意せんかい!!あんたが周りの気にしとったの知っとったが、ダメやろ〜あんた、ちゃんと教育せんかい!!」 二人してドヤされ、小突かれたのだ。 「早く逃げ帰ろう」そう目配せし、大声を上げるやばいオッサンにひたすら謝り、倉内は、ようやく興奮から覚めたのだった。 「いや〜参った!!俺やばい感じがしたんだよな〜チラチラ見てたもん、オッサン。舌打ちしながら。お前、あの殺気、よく気付かんかったんか。」 「すんまっせん、そうすか?全然でした。」 「まあ〜いいや、とっとと帰ろう!!参った、参った。」 |
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僕は、一人バス停に向かってとぼとぼ歩き、帰りのバスの列に並んだ。 何故か、いやな気配がした。そして、ゆっくり隣を見た、向こうもほぼ同時だった。 「あ〜〜〜っっっっ!!」 「何や〜〜〜あんた!!!さっきの奴!!」 「ああああああ、すんません、先ほどは〜〜」 またまた、さっきの怒りが戻って来た。全くついていない。 「ほんと済みませんでした、スタッフが興奮してましたもんで〜」 「ちゃんとせんかい、ほんま、どついたるど!何やお前!!」 「こりゃ、たまらん、逃げられん。」そう思うと僕はとっさに、 「ところで、先輩!!察するに、音楽とか何かクリエイティブな事をやられてるんですか?普通の人とは見た感じが違うもんですから。」 よくこんなことが思いついたもんだ、どう見ても水系のビジネスの方だろう。 「いや〜〜まあ〜〜そんな感じだ。解るか?」 「いやな〜〜・・・・」この後、長い自慢話が続いた。 「早くバスよ〜〜〜来い〜〜」 僕は、話しを虚ろに聞きながら、時を過ごした。 「ところで、あんた、流石やないか、あのアホもあんたを尊敬してたもんな。いやすまんかった。頼む、次は、なああ。お互い九州人としてな〜」 気付いたら、すっかり仲良くなってしまった。 おまけに、この人は、何だかんだ言いながら、僕らの話を、じっくり聞き入ってた訳だ。そして、このぎこちない長い時間の後、僕らは、バスの終点で挨拶をして別れた。 「また、会おう!!」 「二度と会いませんように」 僕は、引きつりながらの笑顔で、心の中で呟いた。 随分、前置きが長くなった。つまりそのくらい不思議なマジックが起こるのだ。 |
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そしてそれから、今回が3回目のワークショップである。 今回のワークショップを迎える前に、僕は長野の栄村に行った。そこで、沢山のことを教えてもらった。 私達が忘れてしまった、本質や、豊かさは、遠い未来にあるのではなく、私達の足下に、体の中に潜んでいることを。そして、その英知を、捨てて来た歴史が、今につながっていることを。 私達が、便利で、簡単で、安全で、解りやすい見える豊かさを求め、走り続けた結果が地域や、ここ天草にある。この僕だって正しく、その一人だ。 |
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しかし、栄村にも、高浜にも共通に存在する豊かさは、それとは全く別物だった。 社会や自然と接して生きる英知や喜び、そしてそれを支え、伝える力である。 お金ではない、目には見えぬ、古くて新しい価値軸の存在なのである。 おそらく、永い間、そんなふうに普通に生きて来たのであろう、だから、見た瞬間、接した瞬間に言葉にはできないが「こうして、生きて来たんだ、これが大切だったんだ。」甦るものがある。 しかし、幸いにも、その英知を、伝えるすべを栄村も、高浜も持っていた。 それは、鈴木牧之であり、上田宜珍である。 そのことを伝え、残した、偉人が存在したことである。 何も変わらない毎日の積み重ねの中で、この地の魅力を見いだし、編集し形にした、不易な力を持った偉人の存在である。 しかし、地元には地元の当たり前があり、毎日がある、それを背負いながら、社会を見つめ、不易なモノを背負う勇気と究極のおせっかいを誰がやるか。 誰も期待しない中で、たった一人で立ち上がる変態性なのである。 しかし、その、たった一人の存在で、世界が変わるのである。 |
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今年は、現代の宜珍の伝道師 田中さんと、高校の先輩である橋本さんと一緒のチームだった。 そして、二人の知識と見識ある話を聞きながら、そのことを確信したのだった。ここには、生きる知恵、価値を作るということ、未来への生き方が、既に存在していた。僕達は、その存在に気付き、掘り起こし、手にし、もう一度、伝えなければならない。さあ、やるしかない、究極のおせっかいを、そう思ったのだった。 |
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これは、多分、説明して、皆で合意して、一緒にやれることではない。一致団結なんてありえない。変態に変化するしかないのだ。 そう、文句の嵐、違和感の嵐、重しの嵐を、ひょうひょうとし、その場に立ちすくむことなのだ。 そして、このアホらしい行動には、あまりにも少ない一寸だけの結果がついて来る。 そして、そのアホらしい姿に、あまりにも少ない一寸だけの仲間が集まる。 そして、一寸だけの成果に一寸だけの仲間と、横たわる永い時間は、やがて大きな結果を生む。 大きなものは、こうして出来上がる、先人達がそうだったからだ。 横たわる時間の中で、何をやらなくても、今は衰退するだけだ。一寸の結果であることを受け入れなければならない。 |
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今回は、橋本さんのお陰で、 「なんの、企業(上田家)や、地域に頼らずとも、NPOにすればいい、段取りだったら僕が教えます、やろう!!田中さん!!」 「お〜〜そりゃいい!! で?名前は」 「う〜〜〜ん、高浜ルネッサンスの会」 「いい!!僕も手伝う」 「決まった!!」 「来年は宜珍祭で集まろう!!」「お〜〜!!」 この軽いノリだ。重く考えると出来なくなるが、やると決めれば、後は重しを皆でどければいいだけだ。 |
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こんなノリの中、藤原先生は今回のワークショップが最後であること、後は地元が決起するしかないということを最後にお話になった。 「これで終わるのか? これからどうするの?」そんな空気が渦巻いた。 「な〜に、今度は皆を呼びつけて、重しを一緒に持てばいい。配役と台詞を渡せばいい、もう動き始めている。」 そう思ったのだ。 |
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やりますばい、田中さん。 | ||||||||||||||||
残念ながら、上田宜珍の血、DNAは上田家の血ではなかったとですたい。 こん天草の血ですたい。 その遺伝子は、受け継いだもんがバトンば渡す宿命ですたい。 伝えましょうや、こん血ば、知恵ば、しあわしぇば。 みんなで、やりますばい、余計なお世話ば。 仲間は、変態ばかりですけん。 なあ、みんな!! 藤原しぇんしぇい!! お〜〜!! |
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来年の「宜珍祭」開催を夢見て。天草の現代の宜珍、田中さん。代官、橋本さん。Aチームの仲間、天草の皆さん、藤原先生始め九大の面々、そして沢山の変態の皆様へ感謝の気持ちを込めて。 | ||||||||||||||||
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プログラムAのプレゼンテーション資料 | ||||||||||||||||
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最優秀賞を獲得したプログラムAのメンバー。 | ||||||||||||||||
●<わかすぎ・こういち> インハウス・プロダクトデザイナー 株式会社内田洋行 所属。 2012年7月より、内田洋行の関連デザイン会社であるパワープレイス株式会社 シニアデザインマネージャー。 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない活動を行う。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長 月刊杉web単行本『スギダラ家奮闘記』:http://www.m-sugi.com/books/books_waka.htm 月刊杉web単行本『スギダラな一生』:http://www.m-sugi.com/books/books_waka2.htm |
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