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今月の一枚 | |||||||||||||
※話の内容に関係なく適当な写真をアップするという身勝手なコーナーです。 | ||||||||||||||
今年も梅が咲いてくれました。去年は植え替えもしなかったし、あまり面倒もみなかったのですが、いつもよりしっかりしたいい花がたくさん。顔を近づけると、ふうわり甘い香りが漂っています。こうしてまた春がやってきます。 |
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うちのベランダの目の前を横切る道は杉並区と中野区の境界で、その道路の向こう岸、つまり杉並区の端っこで、昨年夏から立て続けに、(1)木造アパート取り壊し作業、(2)その2軒となりの古い平屋の取り壊し作業、(1)の跡地への集合住宅新築、(2)の跡地の整地と駐車場への用途変更、(1)のアパートの前にあった古い駐車場へのテラスハウス新築、と、まぁ今でもずーっと工事が続いているわけです(さみだれ式にやらないで全部まとめて一緒に済ませてくれればいいのに)。それで、半年で目の前の景色がだいぶ変わりました。 都内のごくふつうの住宅地が建て替えによって徐々に変化していく、というのは、古いお屋敷がなくなる寂しさはあるものの、日照や通風が妨げられるような迷惑な家が建たない限り、どうということはありません。更地になって初めて「ここ何だったっけー」と思うくらいで、すぐに前に建っていた建物の記憶も忘れ去れてしまうのが常でしょう。 でも、例えば、緑豊かな地方都市で美しい景色をバックに何か新しい施設を建てる計画が持ち上がった、とか、特に観光名所ではないけれど、それなりに長い歴史を積み重ねた味わいのある町の一角に何かを設置する必要が出てきた、という場合、そこに新しくつくられるモノ(あるいは建物)には、すごい責任があると思うんですね。 特に建築は、土地に固定され、長い年数そのままそこにあり続けるので、設計する人はそれなりに「今という時代を反映するものを」とか、「その土地の素材で」とか、「その地域の文化や歴史を取り込んで」とか、いろいろ考えるわけです。それを聞いて、関係者は「よし! あの人に任せよう」と決断するわけですが、実際に出来上がってみると、このデザインが、本当に適当だと断言できるだろうか、この地域のこの場所にふさわしい心に響くものになっているだろうか、というところで、うーん……とうなってしまうことがある。でしょ? そんなの見る人の主観だからしょーがないじゃん。と言われてしまえばその通り。東京タワーだって完成した時には「えぇぇぇ!」って感じだったでしょうからね。それを見ながら育った若者や子供にとっては、善し悪しはどうであれ、それがそこにあるのが当たり前となって、「なつかしい風景」になっていくわけですから。 まわりくどく、何が言いたいかというと、有名な建築家だから、有名なデザイナーだから間違いない、というわけじゃないし、プランがしっかり練られているから大丈夫だ、という問題でもないし、コンセプトが納得いくものだからいい、というわけでもない、ということです(あぁ、言ってしまった)。今の世の中、コンセプトワークやプレゼンテーションがうまい人の方が信頼される傾向があるけれど、いいか悪いか、というのは、まったく別の次元で決まることだと最近つくづく思うのです。 でもね(ここでさらに否定すると、わけがわからなくなるが)、最初から「いやー、この角度には何も理由なんてありません」と開きなおられるのもカチンと来るわけです、オバサンとしては。ましてや「理屈なんて関係なく、これがカワイイと思ったから」、なんて言われたあかつきにゃ、ノートを取ることを拒否するかもしれません(鼻息)。実際に「カワイイ」という言葉を取材現場で聞いたことはまだありませんが、ウワサによれば、じわじわと現実に使われだしているらしい。コワイことです。 結局、結論めいたことは何も言えないのですが、地方に行って、やけに都会めいた洗練されたモノに遭遇すると、いろいろ思うことがある、という話です。変わらないままがいいわけでは決してないけれど、モダンにシンプルにキレイなるのが正しいことだとは限らない。ヨレヨレに錆びたバス停の時刻表示板が |
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●<ながまち・みわこ> ライター 1965年横浜生まれ。ムサ美の造形学部でインテリアデザインを専攻。 雑誌編集者を経て97年にライターとして独立。 建築、デザイン、 暮らしの垣根を越えて執筆活動を展開中。 特に日本の風土や暮らしが育んだモノやかたちに興味あり。 |
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