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試験前の材料検査 | |||||||||||||||||||||||||||||||
試験前に材料の検査をし、含水率等の材料性能を検査し、木材に大きな欠陥がないかをチェックした。 その結果を下記にまとめた。 |
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含水率 | |||||||||||||||||||||||||||||||
材量搬入時に含水計により計測したところ、以下のようになった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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その他の検査内容としては、目視検査により死に節・抜け節・割れ及びねじれ等の検査を行なったが、1等材程度の材料であったことを確認した。 また、木材比重においては、日本建築学会発行の1995年度版木質構造設計規準・同解説における、杉の比重と相当であった。 ヤング係数は、特別、実験において確認をしなかったが、建築基準法の値を参考値として利用した。 本当は建築基準法で定める値以上のヤング係数があると思われるが、目安としての値は法で定める値を参考値として採用した。 |
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写真1 桧厚板の材厚確認状況 材厚は42mm程度であった。 |
写真2 ダボ穴間隔確認状況 せん断抵抗ダボの間隔が300mm確保されていることを確認した。 |
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写真3 米松(ドライビーム)の梁木口検査状況 十分に乾燥され(含水率10%以下)、木口に大きな割れは見られなかった。 |
写真4 米松の根太木口検査状況 年輪は荒いが、一部に年輪のよく詰まっている材も見受けられた。 |
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写真5 杉(高知産)の梁木口検査状況 人工乾燥により十分に乾燥した材料で、木口に大きな割れ等は見られなかった。 |
写真6 杉(高知産)の含水率検査状況 含水計により、梁材・板材共に15%前後と低い含水率であることを確認した。 |
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写真7 杉材(吉野産)の反り確認状況 梁材・板材共に大きく反っている材はなく、抜け節や死に節のない、よい材であった。 |
写真8 杉(吉野産)の木口検査状況 年輪がよく詰まっていて、乾燥した材ではないので割れの発生も少なかった。 |
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試験体製作概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||
軸組製作 | |||||||||||||||||||||||||||||||
試験体の軸組における仕口の加工は、セミナー生や当事務所の所員等による素人の施工では、がたつきが生じ、耐力に影響を与えるような施工となる恐れがあるので、堺市の優良工務店である㈱朝陽工務店の山本棟梁をはじめ、若手の大工9人にお願いして、製作してもらった。 また、筆者も「ちょっと位は出来るであろう」という甘い考えで、参加させてもらったが、アリ仕口を1箇所作るのが精一杯で、おまけに出来上がった仕口は棟梁の仕口がプレカット同等以上の加工であるのに対し、当方の仕口はがたがたで、耐力的にも低下する要因が分かるほどであった。 このように、刻みという大工技術が、構造体の耐力等に影響を与えることを、身をもって実感した次第である。 やはり、設計者として、ある程度自信を持って望んだが、1~2年の見習いの若手大工よりも、やや劣っていたと思うが、もし次回同様なことがあれば、練習をし、若手の大工と同等な仕口を作りたいと思っている。 なお、この紙面をお借りして夏の暑いときに休日を使い、また、ご無理を行って無償にて引き受けて頂いた、(株)朝陽工務店の朝陽高吉社長様には本当に感謝する次第であります。 |
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以下に試験体の製作概要を示す。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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軸組加工状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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写真9 軸組加工状況 軸材の加工(仕口接合部)はプレカットでなく、手刻みとし、セミナー生等では施工ができないため、朝陽工務店の協力により朝陽工務店の加工場にて行なった。 |
写真10 軸組仮組み状況 仕口加工ができ、組み立ててその施工精度は、テレホンカードがまったく入らない程の精度であり、腕のいい棟梁の技術には感心するものがあった。 |
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面材(合板及び杉・桧厚板等の施工) | |||||||||||||||||||||||||||||||
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構造用合板の釘の打設方法として、機械打ちと手打ちとあるが、機械打ちで行なう場合、ガンの圧力を高くすると釘の打ち込み過ぎが起きやすい。このように打ち込みすぎると、釘のめり込みによりパンチングが起こりやすくなり、耐力が半減してしまう恐れがあるので、十分に注意する必要がある。(図-1) つまり、ガンの圧力を低めに設定して釘を高止まりさせた上で、最後にかなづちで打ち込むことが重要である。このことを高専生やセミナー生に理解してもらった上で、施工を行なった。 |
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図―1 釘の打ち込み | |||||||||||||||||||||||||||||||
面材直張り(剛床仕様)施工状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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写真11 合板受け材設置状況 一般に、剛床と呼ばれている、剛床仕様の落とし込み根太をセットしている状況。 このような受け材や根太の施工は、高専生やセミナー生およびポリテク大生等でおこなった。 |
写真12 CN50釘打設状況 施工精度を確保するため、釘打ち機により圧力を低減し、釘を高止まりさせて最後にかなづちにてCN50の打設を行なった。 この合板張りの施工も、高専生やセミナー生およびポリテク大生等でおこなった。 |
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桧厚板によるせん断抵抗ダボ仕様 施工状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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写真13 桧厚板敷き並べ状況 ダボ穴の位置が合うように板を敷き並べ施工した。 |
写真14 ダボ設置状況 板の位置が決まった箇所から「せん断抵抗ダボ」を設置した。なお、「せん断抵抗ダボ」は30角長さ60mm(材はカシ等) |
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試験方法 | |||||||||||||||||||||||||||||||
試験体は土台代わりの梁の両端が、直交する梁芯から90mm外側で2.5t用ホールダウン(SHDタイプ)を設置し、アンカーボルトとなるボルト(M16)を80×80×9.0のZマーク座金で押さえ、土台となる梁の木口より内側(100mm)で試験装置に固定する。(図-2参照) |
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土台代わりの梁端には水平方向のズレ止めを設置した。(写真15)また、梁位置で面外方向の振れ止めローラーを設置する。(写真16) |
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写真15 ズレ止め | 写真16 振れ止めローラー | ||||||||||||||||||||||||||||||
荷重の加力には油圧式加力装置(容量10t)を用いて試験を行うこととする。 変位の測定は、試験体頂部の水平変位を変位計(容量:500mm)で、土台代わりの梁の水平変位及び直交する梁との相対変位を測定し、これらにより、見かけのせん断変計角を求めることとする。(写真17) |
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写真17 | |||||||||||||||||||||||||||||||
荷重の加力方法は、正負の繰り返し加力とし、繰り返し履歴は、真のせん断変形角が1/600、1/300、1/150、1/100、1/50、1/30radとし、最後は押し切ることとした。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
今回実験を行う試験体は、押し引き1回の繰り返し荷重とする。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
最大荷重に達した後、最大荷重の80%の荷重に低下するまで加重するか、試験体の変形角が1/30rad以上に達するまで加力することとする。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
荷重-変位曲線はロードセル及び変位計を、デジタル静ひずみ測定器に接続し、コンピュータに接続してデータを記録し、コンピュータ上で処理を行い、荷重変位曲線を求め、作図するものとする。(写真18) | |||||||||||||||||||||||||||||||
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写真18 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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図―2 変位計の取り付け位置(試験体裏側) | |||||||||||||||||||||||||||||||
上図の各チャンネル番号の一覧を次に示す。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
チャンネル番号一覧 | |||||||||||||||||||||||||||||||
0ch・・・・ロードセル 1ch・・・・頂部水平変位(ワイヤー式) 2ch・・・・土台変位 3ch・・・・縦枠材浮き上がり 1 4ch・・・・縦枠材浮き上がり 2 |
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写真19 変位計設置 | |||||||||||||||||||||||||||||||
変計角及びアクチュエーター制御設定 | |||||||||||||||||||||||||||||||
表-1 変形角と荷重速度 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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次回は、試験状況の説明です。 |
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●<たはら・まさる> 「木構造建築研究所 田原」主宰 http://www4.kcn.ne.jp/~taharakn |
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