杉コレ受賞作×商品化

特集　杉コレの普及

杉コレ受賞作×商品化

文/ 海野洋光

　まずは、羽原さん！おめでとう！

　今まで、数多くの杉コレ作品が生まれてきましたが、とうとう、商品化に結びつきました。私は、羽原さんのメールを頂いたとき、すぐに、私のメールマガ「杉バカ日誌」に出しました。ご存知の方も多いと思います。うれしくて、うれしくて本当に心から喜んだ瞬間でした。宮崎の片田舎のイベント「杉コレ」が、ビジネスにつながった。という出来事は、いままで、杉コレを続けてきた意味があった、良かったと感じるのです。

　杉コレが始まって8年、それまでに商品化できなかったのですから、長い暗いトンネルだったと思います。杉ダラも含め、木材に関わるプロジェクトは、負け戦と言っては、語弊があるかもしれませんが、ボランティアの域を脱することができないジレンマ抱えています。「最近、霞が美味しい」とか、「○○を餓死させない会」などと自虐的な言葉をなるべく、使わないように心がけています。

　羽原さんが「商品は、杉ではないのですが…」という言葉も頂きましたが、杉にこだわる必要はありません。商品として世に出ることの方が、重要なのです。勿論、杉の関係者は、なぜ、杉ではだめだったかを積極的に追及する必要はあります。単に価格や加工性だけではない杉のデメリットがあったのです。今回の「ashiato」の商品化は、そんな、示唆に富んだできごとです。

　デザイナーとして羽原さんを少し、私なりに解釈した話をしたいと思います。多少、私の思い込みで間違っているかもしれませんが、多くの若いデザイナーには、羽原さんの今までの行動を知って欲しいと思うからです。羽原さんは、自分の持つ理想に近づこうと貪欲に動く方です。それは、決して邪道ではありません。常に王道で進んでいます。杉コレ終了後、「ashiato」を商品化しようと宣言し、はじめてから、羽原さんは、即、動いていました。時間が経っても、あきらめず、粘り強い行動をしました。経験の少ない私がおこがましくもアドバイスをメールしますとそのほとんどが羽原さんは、すでに行っている事ばかりで、きちんとしたベクトルで進んでいることが良くわかりました。そして、羽原さんは、自分の夢を私にメールに返信してくれました。私は、自分の理想形を相手に話すことは、とても重要だと考えます。

　私自身も心掛けていることがあります。それは、「本人のいないところで悪口を言わない」ということです。当たり前のようなことですが、なかなかできない自分自身の弱さに気付くことができます。言葉とは、不思議なものです。ネガティブな言葉には、ネガティブな事柄が付いて回ります。貧乏神が、貧乏を好むように、「貧すれば鈍す」なのです。羽原さんは、仲間とともに杉コレ受賞後から「足跡のダンス」の商品化を言い続けていたのです。その結果が、とうとう、この日に表れたと私は、思っています。決して運が良かったのでは、ありません。実力と努力でここまで結びつけたと私は、信じます。

　そして、この経験が、実は、次へのステップだということを羽原さんたちは、気づき始めていると思います。

　「口に出す」と言うことは、責任を持たなければなりません。しかし、同時に多くの人に共感を持ってもらえれば、これほど心強いことはありません。ポジティブに理想を語れば、共感してくれる仲間が現れます。その仲間とコツコツ進むことによって、また、仲間が増殖されるのです。そういえば、羽原さんの羽の字は、4本とも右上がりですね。こんなことからも、ポジティブに見えるのは、私だけでしょうか？

　某デザインチームでは、「杉ダラは、宗教だ。壺を売ろう」と言った人がいます？しかし、杉コレ作品が、本当に羽原さんたちの努力で「一坪の杉空間」を売ることに漕ぎつけてしまいました。「壺の次は、数珠だ！！」とも叫んでおりましたが、今年は「座」なのです。

杉コレクションをこよなく愛する海杉

●<うみの・ひろみつ>木材コンシェルジュ
ほぼ、毎日更新しています。ブログ「海杉　木材コンシェルジュ」 http://blog.goo.ne.jp/umisugi/
2009年3月31日をもって、日向木の芽会を卒業しました。
海野建設株式会社代表取締役　/ HN :海杉
『杉で仕掛ける』web単行本：http://www.m-sugi.com/books/books_umi.htm